問題集「i*tem」活用レポート
「わかる」ことの楽しさを実感!
-自ら「学び」の設計図を描き、挑戦し始めた子どもたち-
1.「えー、こんなにできないよ…」
新学期、「今年は(も)、算数の学習を頑張るぞ!」という意志を胸に、やる気満々の子どもたちに「問題集i*tem」を手渡した。
その瞬間、「問題が多いよ」「難しくてできないよ」……の不満の声。「この教材で確かな学力を!」と強い気持ちを抱いていた私は、予想外の反応に戸惑ったが、改めて授業での「副教材」のあり方、「家庭学習」のあり方を再考する機会となった。
2.「i*tem」の使い方を考えよう……
私はこれまで副教材で、確かな学力の定着と速く正しい計算技能習得を図ってきた。その学習は個人で活動する課題が多かったので、「わかりたい」と願う子にとっては常に自分の能力と向き合い、不安を感じながら挑戦する活動だったと反省している。
そこで、この「i*tem」を授業でどう生かせば、学力向上につながるかを子どもと考えてみた。以下は子どもが考えた学習法である。
(1)「練習しよう」
・授業後半5分でやり、班で答えを確かめる。(×のときは班で教え合う)
(2)「計算ドリル」
・80枚(5年)あるから2日に1枚を、朝の学習でやる。(算数は週4時間だから)
(3)「たしかなものにしよう」
・金曜日の家庭学習でやる。
*?の問題は、土・日に友達に聞けるから。
(4)「考える力をつけよう」
・テスト前に授業中にやり、答えは黒板で説明しながら全員でやって確かめる。
*いろんな考え方がみつかるから。
(5)「発展させよう」
・やりたい子だけがやる。
※トピックス的に学習後に担任が実施
(6)「まとめの問題」「各分野の統合」
・テストでやる。
※クラスの大半が予習でやってくるので、全員が高得点をとれている。
(7)「授業でわかる!」
・朝の学習で全員がやる。
※興味がある問題は、応用問題を作り、印刷して配っている。
3.少しずつ意識が変わり始めた子どもたち
「i*tem」を子どもたちが使い始めて半年がたった。最初は「問題が多い」「難しいからできない」と不安を抱いていた子も、今では自信に満ちた表情で問題に取り組んでいる。
「みんながわかる」という目標をめざして、精一杯取り組み、自分の可能性(考え方・意欲……)を広げ、クラスにふさわしい学びの姿を創造していく子どもたち。その根底にはお互いを補い、生かし合おうとする「共生・共創」の想いが芽生えている。そんな逞しく成長していく子どもから「算数、面白いなあ」「算数が少し好きになったよ」という呟きが多く聞かれるようになった今日この頃である。
(「算数授業研究」(第42号)(2005 11/12月)に掲載)