「アイテム」トップ > 活用校の声 > 日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材 2015 > 日本教育新聞 2015/01/26付 連動企画vol.1

日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材 2015

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平成27年版 日本教育新聞「アイテム」企画特集(2015年1月26日号掲載)との連動取材の第1弾、福岡県桂川町立桂川小学校(大庭公正校長)編をお届けします。
桂川小学校では、昨年度より「アイテム」算数を学校導入いただき、学校の学力向上への取り組みの中で、巧くご活用いただいています。学校の学力向上への想い、また、「アイテム」の具体的な活用方法を大庭公正校長と、安永裕子教諭、牛島ヒトミ教諭にお話しいただきました。

少人数指導での工夫

学力向上というのは、やはり重要なテーマでしょうか。

大庭校長

重要ですね。「学力向上」は無視できない柱ですよ。桂川小学校は、第1回全国学力学習状況調査の結果が、20ポイント近く全国平均よりを下回っていたのです。そのこ とも一因となって、教員と保護者が、子どもたちに学力をつけたいと真剣に思うようになり、学力向上への取り組みがスタートしました。
例えば、ティームティーチングや、教室を分割しての少人数授業、改善加配教員の牛島、安永を中心とした授業改善に取り組んでいます。

少人数授業はどのように行っているのですか。

大庭校長

特に算数が難しくなる5年生では、一つの学級を4つのチームに分けて少人数指導しています。また、1年生でもティームティーチングや少人数指導を行っています。なぜなら、算数の入門期にしっかりとした学び方を身につけることが重要だからです。

牛島先生

習熟度別クラスでの指導を始めた当初は、上のクラスの子が下のクラスの子をばかにしたり、算数の苦手な子がみじめな思いをしたりしないかと心配していました。しかし、実際には、子どもたちも教員も、「少人数のクラスは一つのチームなのだから、それぞれの場所で一生懸命がんばろう」という気持ちを持って取り組んでいます。

大庭校長
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低学年で基礎を身につけて中学年のつまずきを軽減し、高学年で中学への進学を見据えた勉強をする、という方法は非常に良かったと思います。その結果、全国学力学習状況調査では、当初全国平均との差が徐々に縮まり、今年度は全国平均を超えることができました。職員皆が子どもたちに力をつけたいという思いを持つようになったので、学力向上に向けて邁進できていると思います。

夏休みの算数道場

そのほかに、学力向上のために取り組まれていることはありますか。

安永先生

5年前から、始業前の15分間を使った朝学習を行っています。「励みタイム」と呼んでいて、音読や漢字の練習、国語の読み取り、読み聞かせ、そして算数に取り組んでいます。
算数では、計算プリントやアイテムをする時間もありますし、複数の教員が入って習熟度を高める時間にすることもあります。計算プリントの結果はその都度記録して、統計を取っているのですよ。子どもたちの伸びが数値に表れると、先生方のモチベーションにつながります。また2学期も頑張ろう、もうちょっとこの子たちを伸ばしてあげようという気持ちになるのですね。

統計まで取られているとは、徹底していますね。

安永先生

子どもの学習の様子を目の当たりにするというのが大切だと考えています。

牛島先生

夏休みに行っている「算数道場」で、全職員が指導に当たるのもそのためですね。5年生の実情を目の当たりにする機会になりますから。

安永先生

夏休みの始めの5日間、5年生を習熟度別の4チームに分け、全職員で指導を行う「算数道場」を開いています。全学年の先生が5年生の指導にあたることで、全ての先生が高学年の実情を知ることができます。5年生がつまずくポイントはどこなのか、5年生で求められる学力のレベルはどの程度か、そして、5年生の応用問題が解けるようになるためには4年生までにどのような指導が必要か、分かってもらえるのです。

牛島先生

先生の配置も少し工夫していますよ。5年生の中でも算数の苦手な子たちは、3、4年生の先生に指導に当たってもらいます。3、4年生には5年生に直結する内容が多いので、3、4年生の算数ではどこをしっかりやっておけばよいのか、みなさん実感できます。

アイテム導入の経緯

学校全体での徹底した取り組みですね。学力向上推進の一環として、アイテムを導入されたのでしょうか。

大庭校長

そうです。学力向上への取り組みを続ける中で、算数においては特に、6年間の一貫した指導が必要だと感じ、「アイテム」を採用しました。

牛島先生

今まで学年ごとにばらばらのドリルを使っていたのですが、それを学校で統一したのです。アイテムは、いわゆる計算ドリルの3学期分の値段で、内容が豊富。計算ドリルも、習得の問題も、活用問題もあり、よく考えられて作ってありますよね。

安永先生
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今までは、授業内容が分かってしまっていて時間を持て余している子や、もっと手ごたえのある問題を解きたいという子に対して、見合った教材を用意できていませんでした。アイテムがあれば、算数の得意な子たちをもっと伸ばしてあげることができるし、学力の厳しい子も、自分に合った問題を選んで進んでいけるところが良いと思ったのです。

大庭校長

下位の子どもたちへの取り組みは、いろいろな学校が創意工夫をこらしています。しかし、上位群の子どもたちへの対応は非常に重要であるにもかかわらず、手立てが考えられていない学校が多い。指導要領をクリアできればいいという考え方に留まってしまっているのです。指導要領が変わってから、できる子にはどんどん難しい問題を与えて良くなったのに。

今までの小学校教育では、基礎・基本の定着が中心でしたからね。

大庭校長

そうです。ドリルをこなすことに留まっていては、子どもたちに力がついていきません。ただの反復練習で学習が終わってしまいます。今までは、問題解決型の授業も、活用力も求められていませんでしたが、近年、国全体が「真の学力とは何か」ということを考え始め、教育が変わってきました。今、子供たちに求められているのは活用力です。学んだことをいかに応用して利用できるかが試されている昨今、計算ドリルだけでは不十分です。

アイテムの活用場面として

教材観を変えることが重要なのですね。そのような経緯でアイテムを採用頂いているわけですが、具体的にどのようにお使いになっていますか。

安永先生

低学年は、計算ドリルはノートに解き、上の部分は書きこむようにしています。低学年では、「テーマ」の部分を授業で使うこともありますよ。高学年はアイテムノートを作って繰り返しやっています。6年生の教室にはアイテムタワーというものがあります。ページが終わったらアイテムタワーにシールを貼る仕組みになっていて、もう2回通り終わった子もいます。また、去年使っていたアイテムをそれぞれの教室に置いてもらっています。今年の単元でつまずいたときに、去年の自分のアイテムを見返すことができれば便利だと思って。

牛島先生

問題解決的な学習を目指すには、教科書に載っている「適用問題」だけでは練習量が足りませんから、習熟の時間を設け、プリントとアイテムを使って練習をしています。アイテムのチャレンジ問題を楽しそうに解いている子もいますよ。基本的な問題については、朝学習や宿題で取り組むこともあります。

安永先生
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導入に際しては反対意見もありましたよ。でも「やってみましょう」とよびかけました。基礎・基本の定着だけに縛られていても、結果が出なかったのですから。指導の切り口を変えましょう、と提案したのです。

指導の切り口ですか。

安永先生

はい。アイテムを導入して、活用問題に触れる機会を増やしたのもそうです。そのほかに、宿題のあり方を変えることにも取り組んでいます。
今までは、計算ドリルや漢字ドリルが宿題に出て、自主学習として、たとえば社会科の地図記号を調べる、といった勉強の仕方をさせていました。でも、計算や漢字の練習なんて一人でも考えてできる事でしょう。一人でもできることは自主学習の範疇でやるべきことであって、宿題は、宿題にならなければできないことをやるべきだと考えました。たとえば国語の読み取り問題や、アイテムの問題を宿題でやればいいじゃないですか。そのように転換をしたのです。

多様な問題に出会う機会を増やす

牛島先生

国語の宿題の内容もずいぶん変わりましたね。

安永先生

1年生でもCRTのテストがあり、初見の長い文章を読むことが課されるのです。普段から練習をしておかないと、読むだけでタイムアップになってしまい、解答する時間がなくなります。

牛島先生

今までは、何ページにもわたる文章を読んで、時間を気にしながら急いで問題を解いていく、という経験がないままに、テストに臨んでいたのだと思います。本校では今、宿題や授業、励みタイムの内容を改善して、いろいろな問題に出会う機会を増やしています。

安永先生

難しい問題に出会うと、必要以上に考えすぎたり、読むだけで非常に時間がかかったりして、結局最後まで行き着かない子どもが多いのです。しかし、本校では、最後までたどり着く時間配分の大切さと、何か問われたら何か答える大切さを指導しています。今年の全国学力・学習状況調査では、本校は無回答率が非常に低かった。

学校総体で学力向上に向かう

お話を伺っていると、先生方が一丸となって、学力向上を目指されていることが分かります。

大庭校長

学校全体で意識が統一されていることは非常に大切ですね。分からないことをそのままにしない、というのが本校の基本のスタンスです。分からないことをそのままにして進級・進学すると、学習の意欲がなくなり、問題行動につながることがありますから。

牛島先生

子どもたちが中学生になったとき、行きたい高校をあきらめなくて良いような学力をつけてやりたいですね。5年生では、言葉と式で説明をする問題にきちんと答える練習をしています。中学校や高校で習う証明問題にも役立ちますしね。

大庭校長

高学年になってからあわてないように、低学年のうちから学力を定着させていくための授業を作ることが必要です。子どもの力を伸ばすためには、学校総体で学力向上に向かう姿勢を持たなければなりません。

学校全体での具体的な対策が、今年の結果につながっているのですね。本日は、たくさんのお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。

School Data

学校
〒820-0606
福岡県嘉穂郡桂川町土居552
学校長:大庭 公正
児童数:543人
資料 資料 資料 資料

■アイテムノート
①児童は専用ノートを作り、「アイテム」に取り組んでいます。
②間違えた問題を左でくり返しできるよな工夫もされています。
③補助計算用紙を使っている子も。いろいろな工夫がされています。

資料

■アイテムタワー
6年生の「アイテムタワー」。高さは150㎝ほどもあります(高い!)。計算ドリルを進めると、タワーにシールを貼ることができます。計算ドリルを2回通り終わらせてしまって、5年生の計算ドリルをやり直している子もいます。

パンフレット「アイテム算数のご案内」

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