「アイテム」トップ > 活用校の声 > 日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材 2016 > 日本教育新聞 2015/01/26付 連動企画vol.2

日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材 2016

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「共同的な学び」の先に

本日はよろしくお願いします。
今年度アイテム算数を、本校で使われていますね。アイテムを導入している理由とその効果を、貴校の教育理念との関連性も含めて校長先生からお話しいただけたらと思います。

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本校では、「共同的な学び」を校内研究のテーマとして行ってきました。私は、今年本校に着任しましたが、昨年度研究発表をし、その中で「学び合い」を行う事での効果をある程度出すことができました。今年度は、その「共同的な学び」を算数だけでなく、他教科にも広げよう。体育や道徳でも同様の学びができるだろうということで、今年度研究課題として取り組んでいます。

本校の特徴として、算数は3年生以上で2クラスを4クラスに展開にしています。東京都からと渋谷区から1人ずつ講師を加配してもらっています。1クラスが30名に満たないくらいの人数ですから、かなり本当の意味での少人数指導が、習熟度別で行われているわけです。このアイテムの良い所は、いわゆるいろいろな習熟度の子たちに対応する問題が載っているということです。本校は通塾率も低くないので、発展コースの子どもたちは、授業内容を(塾等で)もう習得していることもあります。全国学力状況調査のB問題レベルになるとかなり難しい問題ですが、「それに挑戦してみようか」といって取り組むことができる子が間違いなくいます。そのような子どもたちにとって「この問題少し難しいぞ。塾では教わっていないぞ」という問題があるのがいいです。その点では、発展コースの子にとってチャレンジ系の問題は非常に効果があるというのは、ここ何カ月間か授業を見ていて感じます。算数が苦手な子にも、各単元最初の2ページは非常に丁寧で教科書で教わったことを確認しながらできます。このようにアイテムはいういろいろな習熟度に応じた活用ができるという所が一番いいのだろうと思います。

先ほど「共同的な学び」と申しましたが、習熟度別で同じコースの子どもたちでも、難しい問題のコースを作ったり個人差に対応していま。そのような場合も、この問題は解けた。ではどのような方法で解いたのか。そういった「教え合い」もこれだからできるわけです。誰でも解ける問題だけだったら、普通は「教え合い」にはならないですよね。算数が苦手の子たちのコースでは、教え合いを行う場面も多々あります。しかし発展コースの子どもたちは、学び合いや教え合いを行う場面が少なかったんです。基本的には自分でどんどんやればいい、というコースなのですが、「この問題はこうやってできたよ!」という教え合いがアイテムの問題でできる。その点はいいと感じます。

今年度は、特に算数については、子どもたちが自分の力で、「分かった!」という喜びを実感したり、解き方のヒントを知ることで分かった!と感じる体験を大事にしようと言っています。授業において、先生の一方的な教え込みは良くありません。今年度は、子どもたち自身が「今日の授業で分かった」とか、「○○くんに教えてもらって自分も解けた」と体験することを大事にしてください、と先生方に言っています。アイテムは、算数の面白さや学んで良かったと体感できる、教材のような役割を果たしてくれていると感じています。

保護者には充分な説明と理解を仰ぐ

難しいのは、基礎コースの子にとって活用や発展問題のページまで手が届かないことです。もちろん保護者の方には「こちらは発展問題ですからやらない子もいますよ」とは言ってはいますが、ご家庭にしてみれば「このページは何もやっていなくて…」という声があるのも事実です。苦手な子の問題というのはアイテムでなくてもあるのですが、何もやっていないページが残ってしまうのはいかがなものかと…。保護者としては「やってないところがある」と、どうしても思うわけですよね。応用問題だからやらなくてもいいと言われても、やってほしいと思うのが親心です。「先生、このページは教えてくれないのですか」と言われ、きちんとご理解をいただくのは大変です。今までの計算ドリルですと、全員、全部のページをやるわけですよね。その違いを理解いただくのは難しいところです。例えば4年生のときにはできなかったけれども、6年生になったらできるようになったというような使い方もあるのですよ、というようにお伝えしています。そうすると児童も自分の学びも分かるかと思います。今解けなくても、算数は積み重ねの教科ですから、と保護者の方には回答しています。今の時点ではここまでできていればいいのです、と伝えています。その点については本当に十分説明をして、理解してもらわなくてはなりません。お金を払って買ってもらっている物ですので…。ただ子どもたちの「算数の学び」という点では効果がある教材だと思って見ています。

学校の共通項として ~教材研究として使う~

公立小学校では、全員が全部できるものをやればいい。そんなに難しいのをやる必要がありますか、という声もあることはあるのです。しかし、本校は、渋谷区の習熟度別指導の研究校にもなっています。習熟度別指導ではこのような問題も必要なのですということは、やはり、きちんとお話ししておかなければなりません。そのことは学級担任や保護者に伝えています。また、本校には算数が得意な先生がそんなに多くはありません。そのような状況下でいかに推し進めていくか、ということもあります。これは、このアイテムに限りませんが、少人数習熟度別指導を行う際には、講師の先生も担任も、どれだけ同じレベルで教えることができるかが非常に大事なのポイントです。先生によって差が出るのはいい傾向ではありません。本校は若い先生が多いです。40代、50代の先生が1人もいないので、逆にアイテムの使い方について、よく先生たち同士で話したりしています。昨年までの積み重ねがあるので、割と共通理解していて「ここは無理だったらやらなくていい」、逆に「どんどんやれる子にはここをやらせた方がいいよ」と話している場面もあります。そこは臨機応変に使ってはいますね。教材研究ひとつする場合でも(アイテムの教材研究というわけではありませんが)、1つの単元をやるとき、このコースではアイテムのこの問題にチャレンジさせよう、違うコースではここまでにしよう、というように、先生方の中で確認できるわけです。アイテムは教材研究の材料にもなると思います。

アイテムの発展問題は、先生方が自分で考え出そうとしたらとても大変です。教科書の指導書にも、「応用問題やってみよう!」という問題はあるわけですが、それよりもアイテムの発展問題というのは難しいですよね。そういう問題が用意されているのは、教員にとってはありがたいことです。特に習熟度別の発展コースを担当した際は、時間が余ってしまったらどうしようという不安があります。そんなときにも「アイテムのチャレンジ問題をやってごらん」と対応ができますからね。

習熟度別指導のメリット ~個々に応じた指導で子どもに輝きを~

前任校ではずっと習熟度別指導の研究開発に従事していましたし、国語も算数も習熟度別指導を行っていました。習熟度別指導の良い所は、間違いなく子どもたちが分かったという気持ち、自信を持てること。どの子も活躍できる場があるということだと思います。勉強が本当に苦手な子にとっては、一斉学習の時間は先生や友達の話を聞いているだけ、黙って座っているだけになってしまいがちです。習熟度別指導では、自分と似たような子どもたちが集まりますので、本当に算数が苦手だという子も、割と手を挙げて質問したり、「なんで?」「どうして?」と疑問を言いやすいわけです。子供たちはどうしても友達の目を気にしますよね。自分のクラスだと恥ずかしがったり、馬鹿にされるが嫌で手を挙げない事もありますが、習熟度別指導ですと同じポイントで疑問を持つ子が増えます。教員も「よく聞いてくれたね!」というような対応をするよう心掛けていますので、苦手な子も得意な子も、習熟度別指導でやることによって確実にやりがいを感じることができます。また、活躍する場もできて授業に積極的になれるというか、自然に自分から関わることができるようになります。国語でも算数でも、これは間違いなくそうです。少人数習熟度別指導は、まさしくそこの部分が一番いい所です。
習熟度別指導がまだ定着していない10年前までは、保護者から差別に当たるのではないか、といった意見がありました。最近はむしろ、わが子の習熟度に合った指導をしてくれるほうがいい、という意見が圧倒的に多いです。40人や35人クラスですとスルーされてしまう所が、習熟度別指導では丁寧に教えてもらえる、という点が理解されたのでしょう。習熟別指導の効果は確実に保護者の方にも理解されてきています。子どもたちの中でも、以前はいわゆる発展コースは頭の良いできる子たちのコース、というような認識がありましたが、今はそのような意識はあまりありません。10年前頃は、無理をして実力に見合わないコースを希望する子もいました。子どもなりのプライドなのか見栄を張りたいというか…。今はそういうことはなくなってきました。

今後の課題とは

習熟度別指導の課題は、指導レベルの均一化です。どの教員がどのコースを担当しても、同じように教えることができる。この点が非常に重要です。それができないと、子どもたちが先生で習熟度別のコースを選んだり、自分の実力ではないコースにあえて行こうとすることが起こります。コースの決定はレディネステストを参考に行いますが、教員が普段の子どもたちの様子も加味し、総合的に行います。発展コースを希望している子でも、あまり得意ではない単元のときは「基礎コースでやったほうがいいんじゃない?」とか、基礎コースを希望している子でも「もっとチャレンジできるよ!」など声を掛けもします。けれども「あの先生は分かりやすいから」という理由で、本当はできるのに基礎コースを希望するという現象がおこる。こういう現象を防ぐには、どの教員でも一定のレベルで教えることができるという条件が必要です。その点をクリアすることがかなり重要になりますね。
本校のように、2クラスを4展開で行える学校はあまりありません。そういう意味では、算数を分かりやすく丁寧に教えてくれる学校として笹塚小学校を希望するというご家庭もいるそうです。本校の特色のひとつと言えますね。

習熟度別指導のあり方について、校長先生の熱い想いをお聞かせいただくことができました。
本日は、本当にありがとうございました。

School Data

学校
〒151-0073
東京都渋谷区笹塚2−8−1
学校長:染谷 由之
児童数:359人
資料

パンフレット「アイテム算数のご案内」

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