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日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材

日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材2019

 item算数を導入し3年目を迎える札幌市立北九条小学校様。学校としての取り組みや、その環境づくりに関して、北圭一学校長、矢澤研教務主任にお聞きしました。

日本教育新聞企画特集取材記事(2019年1月21日付)と併せてお読みください。

学習意欲とコミュニケーション

本年度御校で取り組まれている研究についてお聞かせ下さい。また、学校全体の学力について教えて下さい。

北校長

本校では今年度「未来を創る子どもたちの育成」をテーマに研究に取り組んでいます。具体的には「子どもが自ら動き出し、学びを求める授業、学びを深める授業の追及」を掲げています。
①子どもが自ら動き出す学習課題となっているか。
②つながりを求める学習展開になっているか。
③学びが深まった子どもの姿になっているか。を視点にもって取り組んでいます。
子どもたちの学力も全ての教科で市の平均値を上回っており、学習意欲も高いと思います。授業の中でも子どもたち同士の関わり合いもあり、学びあいの姿勢も良く見られます。

子どもたちに課題があるとすると、どんなところだとお考えになっていますか。

北校長

調査項目の中に「自分の考えを順序良く、相手に伝える」があります。他の項目は私から見てもほとんど問題ないのですが、この項目については、やや苦手な面があるのではないかと思われます。

表現する力、伝える力と言われるものですか。

北校長

難しい意味の言葉などもよく知って使っていますし、知識としてはもっているのですが、それらを駆使して順序良く相手に伝えられているかとなると、課題があるように思います。算数に限りませんが、採択しているi・tem算数は一つのツールとして利用しています。単に問題を解くだけではなく、解いた過程や考え方を友達に順序良く伝えて行く練習にもなっているのではないかと思っています。
本校の子どもたちだけではないのでしょうが、今の子どもたちは「ダメ」とか「いいね」とか短い言葉では相手に自分の意思を伝える事が出来ていても、順序だてて文章として伝えることが苦手になっているのだと思います。

矢澤教務主任にお聞きしたいのですが、授業の中での子どもたち同士の関わり合いでコミュニケーションは満足行くものなのでしょうか。

矢澤主任

子どもたち同士は、自分たちの言葉でお互いの意思を伝えあっているように思います。算数の授業に携わることも多いのですが、算数の授業は問題が解ければ終わりというわけではありません。それぞれの子どものアプローチの仕方であったり、考え方の道筋、答えは一つではあるのですが、それを導き出すための手法や過程は子どもたちによっても様々です。

矢澤先生が感じている子どもたち同士のコミュニケーションはある程度成立していると思いますか。

矢澤主任

昨年までの本校の研究主題が「知識から知恵へ高めていく」でした。子ども一人ひとりがもつ知識を集めて知恵へつなげて行くということをやっていましたが、今年はそれを見つめなおして、子どもたち同士の関わり合いやつながりを考えて新たに研究主題が設定されています。
私がこの学校に来たときは、算数の時間などでは答えが出ればそれで終わりというのが多く見られ、他の子がどう考えているとか、自分の考えと比較してみるとかが、あまりなかったように思います。自分の考えと相手の考えがつながっていくのだと思える、そういったことがもう少し出てくると良いと思っています。

御校が目指している研究テーマの到達点はどのあたりにあるのでしょうか。

北校長
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本校は2020年に教育実践発表会を予定しており、それに向けて子どもたちの資質、能力をどのように育てて行くかを研究として進めています。そのためには先ず仕掛けを作ることが必要です。仕掛けを作り出すことによって、子どもたち同士が自ら動き出すという形を作りたいですね。
授業にしても教師主導で「どう思う」ではなく、子どもたち同士が自然と響き合うことで良い化学反応が期待でき、授業の中で子どもたち同士の高め合いも実現するのではないかと考えています。

仕掛けとは具体的にいうとどのようなものなのでしょうか。

北校長

子どもたちは教師の手のひらの上にいるのではありますが、あたかも子どもたちが自ら気づき、発見したかのように思えることが沢山あるような授業づくりが、先生方の努力も含めて出来ると良いと思いますね。あくまでも学びの主体となるのは子どもたちで、自ら気づき、発見し、学びの楽しさを実感してほしいと思います。
そのために教師はそのサポートをするための、授業づくりに取り組みたいですね。先ほどもありましたが、自らの出した答えに満足するだけではなく、他の子が考えた思考のプロセスや導き出したものを比較してみる、他の子が話す意見を参考にしながら、これからさらに進むであろうグローバルな社会に適応していけるよう、小学校のうちからこういった力を身に着けてもらえると嬉しいですね。将来的には自らの考えをもちながら、自分と他人、他人と他人の考え方を結び付けて行けるような人材に育って欲しいと思います。

子どもたち同士のつながりを求めて行くのには、先生方の意識の他にも教材の役割もあるのではありませんか。

矢澤主任

そうですね、本校でi・tem算数を採用したのが3年前になります。私が担任外になって2年目でしたが、札幌市立幌南小学校に昨年転任された田中尚宏先生から相談を受けました。「本校に通う子どもたちに、もう少し知的好奇心を揺さぶるような宿題、課題を与える教材はないでしょうか」と。そこで私は以前から興味をもち、知っていたi・tem算数の見本を取り寄せ、田中先生らと一緒に教材研究を進めました。私としては担任をもっていなかったのですが、i・tem算数を取り入れるのなら単学年で取り組むのではなく、学校(複数学年)で取り組まないともったいないと考えていましたし、田中先生も同じ意見でした。

環境づくりは私(学校長)の責任

item算数の使い方はどのようなものですか。

矢澤主任

当時i・tem算数は主に宿題として使っていました。月・水・金は漢字、火・木はi・temを宿題としていました。宿題の範囲としては導入、習得、活用としましたが、全部となると子どもによっては算数嫌いになってしまう可能性もあったので、教師が調整して子どもたちの学力の実態に応じて使いました。
宿題の約束事として、〇学習日、単元名、ページをノートに書く〇自分の出来そうな問題からやってみる〇丸付けは自分で行う〇間違えた問題には印を付ける〇チャレンジしよう(探究)のページは、学校(授業)で行う、などルールを決めて使用していました。探究のページは、あくまでも教科書の一つの単元内容を終えた後で一時限をフルに使ってクラスみんなで考えてみる、というようにして取り組みましたね。現在は横のつながりを基盤として学年経営で連絡密にして取り組んでいます。どこかのクラスだけが突出してしまうことがないように注意しています。

i・tem算数はすんなりと導入出来たのですか。

矢澤主任

子どもたちは思った以上に自然に受け入れてくれましたね。保護者の方にはあらかじめ懇談会で、導入の趣旨をお手紙にして配布しまして、「i・temは算数の苦手な子も算数が好きになれるように、算数が好きな子はもっと算数が楽しくなるように、それぞれの学習状況に応じて問題が用意されている問題集で、子たちに取り組ませたい」と学校側の意図を説明し理解していただきました。
本校では毎年アンケートを保護者、児童それぞれに行っています。その中で分かったことは「反復して学習することが苦手(好きではない)」ということでした。新しいことが知りたいから、答えが出たことに満足して先に進みたがるのです。学習を進めて行くのには知識や技能のベースがあってのことですから、下段の計算ドリルもしっかりと学習させています。

北校長

i・tem算数の導入は子どもたちの実態を考えた上で、弱いところも補いつつ、更に学力を伸ばしてくれそうな教材ではないかと先生方で話し合って決められたと聞き及んでいます。
活用の問題などに目が行きがちになるのですが、やはり基礎基本の定着にはドリル型の問題が適しているように思います。私が担任をしていた時代に逆行するようにも思いますが、ある程度の量は必要です。粘り強く頑張ったり、基礎学力を育むのは計算問題だったりしますので、i・tem算数にある計算ドリルの問題量は少し多いとは思いますが、必要量であると思います。1ページにある量としてはトレーニングに適していると考えています。

採択して3年目、子どもたちや先生方の間でも使い方は定着して来ているのですね。

矢澤主任

ただ、課題もあります。転勤などで先生の入れ替わりがありますので、他校から来られた先生の中には、問題量に戸惑われたりしますし、その先生方にi・tem算数の趣旨や使い方を周知して行かなければならないところが難しいところです。i・tem算数を生かしきれないと悩まれたりする先生も見受けられますが、それは後ろ向きでネガティブな悩みではなく、どうしたらもっとうまく効果的に活用できるのか、という悩みであって、いま一度先生方とi・tem算数の活用法について話し合いの場を持たなけれならない時期に来ていると思っています。

北校長

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どんなにいいものであっても、その真意が伝わらなければもったいないですし、先生も意図を理解することで工夫しだすと思います。あるからやるというのではなく、共通理解をもってどう活用して行くかが大切です。人が入れ替われば色々な考え方をもつた人がいて当たり前です。その考え方が(子どもたちのためにと)一枚岩になった時は強いです。そういう環境に学校をしておくことも私の責任であると思っています。せっかくいい素材が手元にあるのだから、子どもたちのために、もっともっと活用して欲しいと思います。

『探究ページ』を授業で

北校長先生のお考え素晴らしいです。環境づくりは大切ですよね。i・tem算数を使うためにちょっとした工夫やコツとかあれば教えて下さい。

北校長

子どもたちの学習状況、学習意欲は様々です。同じ足並みでなければならない必要はないと思います。先に進める子どもは先に進めば良いし、じっくり確実に知識を身につける子どもはじっくりと進めれば良いのだと考えます。ただ、教師側では子どもたちの学習状況を見ながら配慮して、どこまで進む、どこで立ち止まるという共通理解はあるべきだと考えています。

矢澤主任

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i・tem算数を先生が理解する近道は研究授業などで取り入れたりすることもひとつだと思います。本校の先生の中にも実践されている先生もおります。授業づくりになるヒントもi・tem算数にはたくさんありますし、授業研究の材料としても有益だと私は捉えています。算数の授業の終わりで自己評価(振り返り)をする時に、学んだ知識を使って考える問題として使ったりもします。
教科書にもi・tem算数でいうところの活用レベルはあるのですが、探究レベルについて本校児童には純分満足とは言えず、そういう面では授業の中でも使えて重宝してます。

授業の中でi・tem算数の探究問題を使っているのですか。

矢澤主任

はい。本校では単元の終わりに振り返りの材料としても活用しています。単元の前半で培ってきた知識が単元終盤でどう生かされるのか、そこで子どもたちが自ら動き出し、どうつながりを求めて行くのかにフォーカスして、札幌市が推進している「分かる、できる、楽しい授業」に近づけるための授業改善にも有効だと思います。宿題の範囲は計算ドリル、導入、習得、活用までです。
探究は子どもたちが一人で行うには負荷が大きいし、楽しいなと思える問題も探究の問題に結構多いので、クラス全体で子どもたちに触れて欲しいという思いもあります。もちろん、授業で触れられる問題には限りがありますので、家庭学習の材料としても使わせてもらっています。

最後にi・tem算数を使って来て良かったなと思われることはありますか。

矢澤主任

子どもたちの学力に応じた問題が用意されていて、教科書とは違った問題や思考力を養える問いもあるところは良いですね。子どもたちの学力向上の他にも、ここ数年若手の育成が急務となっており、教員間のコミュニケーションツールとしても、教員の教材研究を行う材料としても良いと思っています。

School Data

宮市立貴船小学校
札幌市立北九条小学校
〒815-0042
〒060-0809 北海道札幌市北区北9条西1丁目1
児童数:514名

パンフレット「アイテム算数のご案内」

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