1/11号 日本教育新聞企画特集 岐阜県・可児市立旭小学校より現場の先生にお話をうかがいました。
日本教育新聞記者:
今年からi*tem算数を導入されていますが、現場の先生の印象や考えをお聞かせください。
高木先生:
私は以前よりドリル一辺倒の宿題に疑問を感じていましたから、ドリルに変わる教材としてi*tem算数を見たとき、これはいいと思い納得しました。算数は計算問題だけではありませんし、与えられた課題だけをこなせばよいという宿題の出し方に違和感がありました。自分に合った勉強はなんだろうと、自ら問題を選ぶ習慣を小学生から付けていく必要があると思っています。
今年はコロナの影響で休校期間がありました。その期間、i*temを家庭学習用教材として先に渡している学年もありました。「家庭学習の中でどんどん進めてください」と声掛けしたこともあり、意識が高い子は進んでi*temに取り組んでいました。
i*temにはいろんな問題があるので、興味津々でやっている子もいます。先ほど6年生の子が(算数の授業で)まとめを書いた後、i*temを開いて確かめていました。今日の授業は、i*temのどのページなのだろうと。今までは、先生から与えられた課題(問題)を何も考えずに解くことが当たり前でしたが、教科書の問題が終わったらi*temを解いてみよう、とか、教科書の問題とi*temの問題はどう繋がっているのかな、と確かめるなど、自主的に取り組む場面がこれからもっと増えたらいいなと思います。自分で考え能動的に動く。その姿こそ、私たちが目指しているものでもあります。
日々の中でどのように活用していくか。まだ手探りではありますが、自分たちの想像を超えるような活用をしてくる子どもが出ています。そこはi*temの成果ですね。思考する場面を作る、少し背伸びをして難しい問題に取り組んでみる、そのことが知的好奇心を育てるのだと。学力向上のヒントはそこにあると思いますね。活用やチャレンジ問題を「ちょっと難しいな」と思っても、先の単元を学習した後に「あの問題はこういう意味だったのか!」ともう一度トライしてくれたら嬉しいですね。i*temは教材の性質上、全ての問題を解くことが目的ではないので、子どもたちにとってもプレッシャーになりにくいのではないかと考えています。
自分で選択する力は生涯通して必要なスキルですし、これからますます重要度を増していくのではないでしょうか。
ドリルは、全ての問題を終わるまでひたすら解いていきますよね。やり残しなくやる、これは出来ない子にとっては苦行ですし、計算練習で知的好奇心が湧くとは考えにくいです。やっていない問題があってもいい、でも挑戦してみて解けたときに「算数っておもしろい!」と感じてくれたら嬉しいですね。
少し難しい問題にチャレンジする場面を作ることを大事にされているのですね。
少しでも自分からやってみよう!という気持ちが生まれ、そのうちに解けるかもしれない。一問でも解けたら、次の問題もこっちの問題も…と派生していく。チャレンジし続けなければ、この波は起こりません。そうは言っても算数に苦手意識がある子は自分で考えて進めることが難しい。学校としての課題はその部分ですね。そこはi*temでもドリルでも変わらないのですが…。先生の声掛けや友達との学び合いもあるとは思いますが、様々な問題との出会いは大事にしていきたいですね。
算数の楽しさを子どもたちに ~向かう力を大切にして~
日本教育新聞:
青木先生は算数少人数の授業をされていましたが、授業の中でi*temを活用されることはありますか?
青木先生:
基本的に授業は教科書主体ですが、後半にi*temの問題を取り入れたりもします。i*temの探究の問題は、教科書の延長線上の問題として使えるものが多くありますので。
算数では授業で学習したことを振り返る時間があります。すぐに終えてしまう子は時間を持て余していました。i*temを使うようになってからは、教科書の練習問題が終わると、子どもが自分でi*temを開くようになりましたね。教科書の問題とi*temの問題を比較して、この問題は解ける!と取り組んだり、わからない時は教え合うような場面も見られます。自分で自分のレベルや力に合わせて学習するようになっていると感じます。
今日も(i*temの問題で)「この問題面白い!」と言っていた子が何人かいて、休み時間もチャレンジ問題を解いていました。さらに、i*temを元にして自分でオリジナル問題を作ってきた子が一人いました。自分でも問題を作れるかもしれない!と言って。今は自主学習ノートに作ってくるようになっています。
自主学習の内容も変わってきたと思います。今までは計算ドリルや漢字ドリルを繰り返しやることが多くありましたが、今年はi*temの問題や、アイテムの数字を少し変えた問題を解いたり、自分で問題を作り出してくる子もいます。
自分で問題を作り出す。そのパワーはすごいですね!
i*temに負けたくない!という気持ちもあるのでしょうか。
計算ドリルからはその発想は生まれませんでした。数学的な考え方や思考力を養うような問題でないと、そのような気持ちは生まれないと思います。
i*temが1冊あるとありがたいし、私たちが見ても算数が面白くなりますね。同じような問題を作ることはとても難しいです。
色々課題を準備しなくてもいいという点では「働き方改革」にも貢献していますよね。
しかしそこまで追い付かない子もいます。そういう子にはこのページの何問まで。計算ドリルの何番だけやればいいよ、と伝えています。
高木先生:
i*temは書き込みがしっかりできるページもあります。自分でノートに書くことがまだできない子にとって、そのようなページが必要なのです。そのような配慮があってとてもありがたいです。問題の数は少ないですが、その分きっちり解かせています。
もっと有効な使い方はないのかなと今も模索しています。
授業改善の要素として
高木先生:
i*temは授業改善にもつながります。授業をして、定着の練習問題を解く。この繰り返しでは創意工夫も生まれませんが、i*temを開き、教科書と似た問題を探してみたり、授業を発展させられる問題になるかなと考えたり。これは先生にとっても参考になっています。
記者:
今日拝見した授業でも、教科書と関連した(i*temの)問題を展開されている先生がいらっしゃいました。先生方も子どもたちも、探究心が旺盛だなと。
そういうことでしょうね。
我々職員も気付いていない部分がありました。i*temを導入してみて、お互いそういう部分に気付いたのかもしれません。授業の工夫、改善は今までもやっていました。そのためのヒントや題材を探すのに時間がかかったのですが、i*temには題材がたくさんあります。いろんな所から探してくる手間が省けていると思います。
青木先生:
そうですね。単元ごとに系統立てられた問題がありますから、教員がプリントを作るよりいいと思います。この問題は授業でやってみようかな、教科書のこの問題をやった後はi*temの〇ページだな、と。
余力がある子には「この問題もやってごらん」と言うと、夢中になって休み時間に入ってもやる子がいます。:こういう姿は、ドリルでは見られませんでした。計算ドリルは1年で繰り返し2回はやっていましたが、解けた問題を繰り返し解くことには疑問もありました。
計算ドリルは、職員の安心材料、保険なのかもしれません。やったところにシールが貼ってあると先生は安心なのですが、子どもにとっては貼っていないところがあることに罪悪感が残ります。最後まで解き終えることが目的になっていますが、それは違うのではないかと思うようになりました。
先生の間で確認はしていますが、i*temはドリルと性質が違います。全ての問題を解くことが目的ではなく、子どもたちが自分で問題を選び、考えて進めるための教材なのです。そうでないとドリルから変えた意味がないと思っています。今年はそのことをよく先生方に伝えていますね。
本日はありがとうございました。
School Data
岐阜県可児市大森2078−3
児童数:468名
学校長:井戸 勇治