「アイテム」トップ > 活用校の声 > 日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材 2022 >【vol.1】主体的な学びを追求し、その先に見えてくるもの

日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材

日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材2022

茨城県つくば市内では、『アイテム算数』発刊当初より、多くの小学校、先生方に親しみを持ってご使用いただいております。今回取材にご協力いただいたつくば市立竹園西小学校様もそのような学校のひとつです。目指している授業、自主学習の捉え方、アイテム算数との関連性について伺いました。

日本教育新聞企画特集取材記事(2022年1月17日付)と併せてお読みください。
日本教育新聞記者:

まず校長先生より、貴校の目指されている教育についてお聞かせいただけますか?

学校長:井戸 勇治先生

中央:飯島孝子校長
右:教務主任 吉村哲一教諭
左:算数主任 天貝伸子教諭

飯島校長:

つくば市は平成24年より小中一貫教育を進めております。本校は竹園東小学校、竹園東中学校の3校でつくば竹園学園として、9年間で目指す竹園の児童・生徒像を『グランドデザイン』として掲げておりますが、その中に『竹園から世界にはばたく児童生徒の育成』があります。竹園地区は創立当初から海外のお子さんも多く、学校では国際教育にも力を入れています。研究学園都市ということで教育熱心なご家庭が多く、子どもたちも知的好奇心が旺盛で学ぶ意欲が高い児童が多い。これが本校の特徴です。素直で物事に対し一生懸命取り組む子が多いですね。本校独自の目標は『笑顔がいっぱい楽しい学校』としています。子どもにとって学校生活が楽しくなければ、学力は伸びません。学校が子どもにとって楽しく生活できる場であることを大切にしています。各学年とも、担任の先生の導きもあり学級がよくまとまっているなと思います。
学習面では、「問いが生まれる課題設定による主体的な学びの追究」を挙げています。実際には教務主任である吉村先生を中心として進めておりますが、児童の中に疑問が広がり、学びが深まっていくような、問いの生まれる課題を授業で提示していくことを目指しています。

『問いが生まれる課題』を授業で共有

記者:

「問いが生まれる課題」。その点について教務主任の吉村先生より詳しく教えていただけますか?

吉村先生:

はい。これはどの教科にも共通していますが、まず「この授業で考えたいこと」「解決したいこと」を授業で共有します。その課題に対して「どのような見通しを立てたらいいのか」を子どもたちは考えます。するとそれぞれに違った考えが当然出てきますので、「何故?」「どうしてそう考えるの?」と話し合っていきます。算数は教科としてそのような場面が生まれやすいという特徴はありますが、理科の学習などにも、子どもたちから問いが生まれてくる学習があります。子どもたちが疑問に感じたこと、解決したいことについて、そこから授業を始めることもしています。問いの生まれる授業は、全校で取り組んでいるところです。
学習指導要領にも「問題発見・解決能力の育成のための活動の充実」が挙げられています。やがて子どもたちが成長して社会に出た時、日常の事象と出合い、問題を発見し、何が解決できればその問題をクリアできるのかを自分で考えていかなくはなりません。問題を解決するためには、今自分が持っている知識の中で何が使えそうなのかを考えていきますよね。授業のスタイルもそのような形であるべきではないかと思います。

天貝先生:

私は今年2年生を担当していますが、算数の授業ではもう少し具体的に「何がここから分かるかな」「どのようにすれば解けるかな」ということをクラスで話し合います。その後に「ここが分かったらいいな」という課題をみんなで共有します。個々で考える自己解決の時間を持ち、その考えをみんなで共有しながら「答え」に向かうという流れで展開しています。

飯島校長:

なぜだろう?と疑問を持つこと、本当にそうなのかな?と考える力を育てる取り組みは、この竹園学園全体で実施しています。本校の授業に対する考え方とこのアイテムの理念には通じるものがあると思いますね。

「考える力」「自ら進んで学ぶ力」を付けるために

記者:

「考える力」を付ける授業を日々行っているからこそのアイテムでしょうか。
多くの教材がある中で、アイテムを取り入れている理由についてもう少しお話聞かせいただけますか?

天貝先生:

私は本校に3年おりますが、着任した時はすでに4年生以上でアイテムを使用していました。今年度は2.3年生でも使用しております。昨年度校内の話し合いの中で、子どもたちに「考える力」や「自ら進んで学ぶ力」を付けていくには、先生が出す課題や宿題だけをやるのではなく、段階を追ってでも自分が学びたいこと、興味のあることについて自主的に学べる子どもを育てたいという意見が出ました。そのために、毎週1回自分の興味があることを進んで学ぶ「自主勉強の日」を設けることにしました。その取り組みを今年度から実施しています。

そうは言っても、2.3年はまだ学びを習得する段階です。「好きなことを学んでいいよ」と急に言われてもなかなか自主的な学びは成立しませんし、保護者の方も不安に思っていました。1学期のスタート時は(先生が与える)宿題を中心にし、少しずつ自主勉強を取り入れながら進めていこうと教員の中で話し合いました。その中で、算数の教材も見直しを掛けました。高学年が使用しているアイテムには、計算問題から活用問題まで多様な問題があります。同じ教材で進めれば、基礎力の定着から考える力の育成へとつながるかもしれないと思い、取り入れることにしました。

記者:

4年以上での活用方法と、2年、3年生とは少し使い方が違うのですね。

天貝先生:

そうですね。4~6年生は教師が提出の期限を決め、主に自主学習として進めていくやり方です。一方2.3年生は、授業の中で一斉に取り組む場面を作ったり、解いてくる問題を教師が決めて宿題に出すなど、全員の歩調を合わせながら進めています。アイテムには多様な見方を育てる問題が多くあるので、授業の中で取り上げて広げることもしています。授業で習ったこと、その単元で習得した内容を使って解く発展的な問題があり、学力テストに繋がるような問題も豊富です。2年生(の問題)であってもひとひねりあって、少し考えさせる問題。そのような問題は、宿題というよりもみんなで一緒に解くなどの工夫はしています。
「算数の力」というのは、計算力だけではないですよね。本校には計算力を磨く必要がある子もおりますが、それだけでは物足りなく感じる子も多くいます。2年生のアイテムは、「かけ算」の単元でもただ答えを求める問題だけでなく、色塗りをしたり、生活に根ざした問題や楽しく考えられる問題が入っています。このような問題に触れることで「アイテムおもしろいね」「もっと違う問題はないの?」と目を輝かせる子どもがいます。まだ2年生だからですけど(笑)かわいいなと思いながら見ています。

自主学習の中でつけさせたい力とは

記者:

4年生以上では9年継続して活用されているそうですが、高学年の使い方はどうでしょうか。

吉村先生:

アイテムは自主学習が中心ですね。授業では、課題に対し見通しを立て、考え方を交流する。色々な考えを比較し共有する、その過程を大事にしたいと思っています。(私個人の考えですが)学力のレベルに関係なく、どんな子であってもそれぞれの学力を上げられる授業を目指しています。その子の持っている力、それぞれの学力を上げていきたい。答えが分からなくても、意見交流の活動をすると真剣に友達の話も聞きますし、いい考えだなと思ったらノートに一生懸命書こうとします。そういう学びに向かう姿勢は素晴らしいと思いますし、そこを私たち教師が認めていくことは大事だと思います。
アイテムで日々学習している感想を子どもたちに聞いてみました。計算問題を解き、答えが合っていたとき、気持ちがすっきりすると答える子がいました。その一方で、チャレンジ問題をやって、いろいろ考えて答えを出せたときに楽しさを感じると書いてくれる子もいました。それぞれの子にとって到達点が違いますし満足度も違います。それでいいのだと思っています。

天貝先生:

令和2年に教科書が改訂されて、教科書にも難度の高い問題が入ってきました。特に、高学年の教科書にはアイテムの「チャレンジ問題」に近い問題もあります。じっくり考えないとできない問題、面白い問題が教科書にも。ですから、自主学習の中でアイテムに触れると教科書に似たような、またパターンを変えた問題に取り組むことができます。
本校の児童は、簡単に答えが出る問題よりも、答えに向かうアプローチが色々と考えられる問題の方が楽しく取り組めるようです。高学年になると自力解決力が付いてきますから、自主学習にアイテムが向いていると言えるかもしれません。
自主学習を見ていて、どうしても答えにたどり着かず解答をみているかな…と思う子も時にはいます。それは先生たちも分かっています。それでも、いろんな問題に触れるという点ではいいのかなと。休み時間に「先生、この問題どうやって解くの?教えてください」と質問に来る子もいます。友達同士で聞き合ったりする場面も見られますから。

吉村先生:

アイテムを自主学習の中で進める上では、計算問題が20問中19問できるようになって素晴らしいねという声掛けも大事ですし、穴埋めの問題が出来てしかも友達に説明もしっかりできて素晴らしいねという声掛けも大事です。『あの子は計算問題しかできないから』ではなくて、その子に応じた称賛の仕方や価値付けの仕方を教師がしていけばいい。そのことが教師には大事なのではないかと思っています。

飯島校長:

アイテムには活用・応用問題だけでなく基礎基本の問題、計算ドリルも(ページの下に)ありますよね。だから多様な学力の子に対応できます。基礎基本の問題が必要な児童は計算ドリルに取り組めばいいし、算数的な思考が好きな子は活用・応用問題をやればいいのです。いろいろな問題あるのがアイテムのいいところでもあります。天貝先生がお話していたように、応用的な問題はクラスみんなで話し合いながら解いていくことで知的好奇心も満たされますので。
令和2年から現行の学習指導要領が施行されました。新しい学力観を踏まえた問題が多く、子どもの思考力が高まるというところがアイテムを使用している一番の成果だと思います。学びが深まる。もちろん教科書も改定ごとに内容がとても良くなっています。それに加えてこのアイテムを活用することによって、より学びが深まるのではないかと思います。
一人一人の子どもの学力に応じた使い方ができる。教務主任からもありましたけれど、それぞれの子がそれぞれの学力に応じて学習を楽しんでいけばいいし、難しい問題に対してもみんなで一緒に考えることで伸びていくものがあると思っています。

記者:

本日はありがとうございました。

School Data

茨城県・つくば市立竹園西小学校
茨城県・つくば市立竹園西小学校
茨城県つくば市竹園2丁目19−4
児童数:834名
学校長:飯島 孝子

パンフレット「アイテム算数のご案内」

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