「アイテム」トップ > 活用校の声 > 【アイテム通信 Vol.14】9ヶ年の学習計画を見通して~グループ学習から自主的、自発的な学びへ~

活用校の声

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東京都八王子市立加住小中学校(学校長 清水和彦先生)は、市内で2番目の小中一貫校として平成22年度に開校されました。アイテム算数を小学部で導入されて2年。「小学部として共通の教材を使う」と決定された意図、学校としての教育方針、また、現場の先生方の取り組みについてお話を伺いました。
聞き手 NPO次世代教育推進機構 齊藤 宏子

小学部全体で取り入れる

貴校でアイテムを導入された経緯についてお聞かせください。

山久保副校長
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副校長
山久保 正治先生

 前任の中里副校長が算数習熟度の担当教員であったこともあり、「こういう教材があるけれど、やってみませんか?」と小学部の先生方に声掛けをしたのが始まりです。教材に関わらず、本校では「良いものは取り入れていこう、やってみよう」という思いが職員の共通理解としてあります。折角やるのであれば、小学部全体で取り組もうという事で取り組みが始まりました。
 アイテム算数を導入した平成27年度初回の保護者会では、 「アイテムという教材を今年は購入します。この教材には段階があり、最初の2ページ、習得の部分は基本的な問題なので皆ができるようにします。活用問題は、習熟に応じてやる子とやらない子がいます。さらに発展問題については家庭学習にしたり、早めに学習が終わった子が取り組めるようにしたりという形にします。」というお話をしました。価格についても、アイテム算数は1冊970円です。学期ごとに購入するドリル3冊分と考えたら、コストパフォーマンスはよいです。現場からは、繰り返し練習ばかりのものですと子どもたちが飽きてしまうという意見もありました。「アイテム算数には様々な問題があるので、子どもたちのいろいろなニーズに応えられます」ということは保護者会のときに説明しました。

アイテムは、教材について先生方の理解がないと活用は厳しいですよね。なぜアイテムにあるような問題をやる必要があるのか、共通理解が必要です。次期学習指導要領では、これからの「学び方」について明示されています。

山久保副校長

 学び方の変化で言えば、「算数」には顕著に表れていますね。社会科や理科についてもそうですが、算数は変化が大きいので戸惑いも大きいのでしょう。

小中学校9ヶ年の見通しを持って

貴校は小中一貫校として9ヶ年で進めていらっしゃいます。小学校内容だけでなく、中学校内容を見据えた学習計画があるかと思いますが。

山久保副校長

 本校の学力向上の柱として、低学年集団、中学年集団、高学年集団という集団で考えて取り組もうという方針があります。1、2年のかたまり、3、4年のかたまり、5、6年のかたまりで動きます。4年の担任は3年から持ち上がっています。継続事項、懸案事項の確認もスムーズですね。そのようにグループ意識をもって指導していきましょう、と本校では取り組んでいます。アイテムの活用もそのひとつです。共通理解が図りやすいのは、本校のそういった方針があるからかもしれないですね。そのような意味でも、同じ教材を6年間通して使うということは大きいです。1年から6年まで同じ教材を使っていくことは、同じ考え方で算数に取り組んでいくということです。基礎的な考え方と姿勢の部分を築き、学習の流れをしっかりつかんで中学に進学させるというのはとても大事です。それが定着すれば、中学校での学習の根本にある自学自習へも発展させられると思います。
 本校では小学6年生の算数授業に中学部の数学教員が入っています。(中学校の教員は小学校の免許も持っていますので)その際は中学の先生も授業でアイテムを活用しています。算数と数学の考えを融合させた授業展開が6年生で出来ることの成果は大きいと思います。実際に授業観察に行った事がありますが、「これは中学で使うのだけどね」と言いながら、最大値や平均値といった言葉を出していました。
 本校の学校経営計画の「教育目標」として、『進んで学び、向上できる子』があります。また、今年の学校経営方針の柱のひとつに『セルフモチベーション』という言葉があります。「自発的なやる気」ということです。「このような力を身に付けていけば、こういうことができる」と分かってほしいと願います。中学部の先生から新しい情報を得ることで、面白い!と感じ、学びを深める事が出来る。小中一貫校である加住小中学校だからこそ、そのようなことができているのだと思います。中学校に生きる自学自習の最大のポイントは、『セルフモチベーション』=自らやる気を奮い立たせる、ということです。そのようなことを、算数、数学においても育みたいと思っています。
 算数、数学は系統性がはっきりしている教科です。なぜこうなったのかを掘り下げ、深く学ぶこともできる。進んだり、戻ったりを繰り返しながら、自ら学ぶことができる教科ではないかと思います。その点は大事にしたいです。アイテムの中には、ハードルが高めの問題があります。子どもたち一人でやるときもありますが、友達同士で相談して解いていますね。それが学び合いにつながっています。学校長は、今年の学校経営方針に『グループダイナミックス(集団力学)』という言葉を入れています。集団で、学び合ったり教え合ったりを繰り返し、集団の強みを生かしながらその集団を強くしていくということです。よりよい学級集団、学年集団、学校集団をつくることを目指しています。
 教科学習として算数では、アイテムという教材を通したグループ学習ができるのではないかと思います。誰もが解ける問題をクリアする事は簡単です。多少骨があるものでないと、子どもたちは達成感を学び取ることができません。よい考え方が出た時に、先生や友達から「凄いね!」と言われればやる気になりますしモチベーションも上がっていきます。そういう面でうまく算数の時間に活用できればと思っています。算数は習熟度別授業を行っているので、学力的には同じような子たちが集まりますが、それでもいろいろな考え方が出ますね。グループごとの達成させたい目標を、教員間で理解の共有ができればよいと思っています。そういった面でもアイテムは指標になってよいかと思います。

アイテムを上手く取り込んで

貴校では、アイテムの最後にあります「学年のまとめ」を学年の初めにレジネステストとして活用し、結果分析を行っていると伺いました。新しい活用法だなと思いました。この分析も、全学年同じ教材を使っているからこそできる取り組みですね。

佐々木先生
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研修主任
佐々木 大典先生

 本校では一昨年から全学年で行っていますが、文章題の読解力が低学年で課題としてあがりました。何を問われているのかを理解するまでのサポートが必要ですね。算数の場合、立式までの過程を説明する際、使うツールが言葉(文章)なのか図やグラフなのか。子どもたちが思考を表現する時に使うツールを、教師がある程度把握していないといけないですね。そして「このツールを使えば立式ができる」と子どもが思えるようにしてあげないといけません。本校の子どもの中には、立式に辿り着く前にやる気をなくしてしまう子がいます。また、式や答えを間違えたとき、どこで間違えたのかを気付くのに時間が掛かる場合があります。そこが今後の課題だと思います。

昨年と今年での変化はありますか?

佐々木先生

 アイテムを継続活用していると、教材の特長がより分かってきます。この学年では、今までと違う活用方法を工夫して取り入れてみよう、ということが出来ます。昨年までは授業など学校でやることを主体にしていましたが、4年生では自主学習にアイテムを取り入れてみる、高学年では取り組む問題を自分で考えて判断していく、というように自学自習の部分を増やすきっかけになる教材として有効に使えると思います。4年生では、全部を自力で解くというのは難しいので、ある程度みんなでやろうという流れがあります。2学期からは、「この問題、ちょっとチャレンジしてやってみたら?」と、こちらから促すことが増えました。「自分で考えて解ける」という範疇にアイテムが入ってくるといいなと思います。1問をじっくり考えて解いてみる、という経験こそが大事だと思います。子どもというのは、できたら人に見てほしいし、伝えたがるものです。同じ力の集団だからこそ燃えてくる部分もあるでしょう。「解き方を誰かに伝えたい!」という子どもの強い気持ちをうまく活用できたらいいなと思います。

先生方の授業観に変化はありましたか?

佐々木先生

 3、4年生になってくると、学び合うための材料としてアイテムは使えると思います。自力解決では停滞するときがあるので、皆で取り組むこともあります。アイテムを活用して、うまく授業展開の中に学び合いを入れていけると、子どもの気持ちに変化が出て、取り組ませることが出来るのではないかと思います。先生がどこまで意識して、授業展開していくかにもよります。私も今年4年担任になったので、今までよりも意識的に、なるべく学び合いの時間を入れるようにしています。学び合いの取り入れ方は、学年や子どもたちの実態によって違うとは思います。算数は基本的に習熟度別ですが、アイテムの中で、間違えが多かった問題をみんなで一緒に解いてみる、などの活動が広がりもっと浸透したらよいのではないかと思います。

School Data

学校
〒192-0004
東京都八王子市加住町1丁目191
統括校長:清水 和彦
児童数:232名
資料

パンフレット「アイテム算数のご案内」

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