「アイテム」トップ > 活用校の声 > 日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材 2015 > 日本教育新聞 2015/01/26付 連動企画vol.2

日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材 2015

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平成27年版 日本教育新聞「アイテム」企画特集(2015年1月26日号掲載)との連動取材の第2弾は、茨城県高萩市立松岡小学校(大澤吉雄校長)です。
同校では、今年度より「アイテム」算数を学校導入いただきました。同校での学力向上への取り組みと、アイテムの活用状況について、大澤吉雄校長先生(Part1: 指導力向上のために~新しいものにトライしていく勇気を~)と算数少人数担当の春山勇一教諭(Prat2: 子どもの「表現する力」を引き出す授業)にお話をいただきました。

Part2:春山勇一先生編
子どもの「表現する力」を引き出す授業

本日は算数授業を見学させていただきありがとうございました。

春山先生

本校の6年生は、算数で少人数指導を行っています。教室にいたのはクラスの3分の1です。3分の2の子どもたちは、同じ時間に別の授業を受けていました。見ていただいた授業では、いつものように計算から始まり、続いて当番の子どもが話をするような流れで進めています。今日の授業はこちらが教えなければならないポイントが幾つかあったので、私が話す率が高い授業でした。普段はできるだけ子どもたちの発言を繋ぐようにしています。

春山先生の授業では、「子どもたちの意見を聞く」ことを大事にされていますね。

春山先生

できるだけその点を大事に考えて、授業展開をしたいと思っています。しかし、なかなか難しい面はあります。特に高学年は、みんなの前で話をして「失敗したら恥ずかしい」という思いが出てくる傾向にあります。子どもの表現する力が十分ではないことは、例年この地区の課題として挙がっています。子どもたちが調べたものを発表する機会はいろいろな場で設けていますが、毎日行う授業の中にそのような要素を盛り込んでいかなければ、表現力は高まりません。「表現力を高める」。これは大きな目標としています。しかし、目標に近づくには積み重ねが必要です。すぐに変えることは難しいのですが、こちらが心掛けていかなければ子どもたちが変わることはないと思います。ですから、授業の中で日々進めているところです。

様々な表現方法を許容する

授業の中で「先生に聞かれたら嫌な人はいますか」という質問をされましたね。その時手を挙げるのはなかなか勇気が要ると思います。

春山先生

そうですね。「聞かれたら困る人」という意味ですが、要するに「聞かれて困らない人に聞きましょう」ということです。子どもたちには、何らかの形で意思表示をしてほしいと思います。「きちんと相手に話せるレベル」というのはなかなかハードルが高いものです。例えば、子どもによっては「手を挙げる」というレベルで表現することもあるし、声を出すだけでも、それは1つの表現の手だてです。「表現する」というのは、子どもによってかなり幅があります。
本校は昨年度まで算数科で授業研究を進めてきた経緯がありますが、「表現力」は多方面から幅広く見ておく必要があると思っています。完成されたものだけを「表現力が高い」と判断し、みんな急いでそこに行く必要はありません。そうすると、表現が得意な子だけが目立ってしまいますね。そうならないように、一言だけでもつぶやいたこと、手を挙げたこと、書いたこと…。そのような事すべて含めて「表現力」ととらえ、幅広く見る必要がありますね。あとは、どれだけ教師が拾い上げられるかということです。それらを積み重ね、表現力が高まるような授業を行ってきました。今年度もその点は継続して授業を進めています。
今日の授業の終盤で発言した女の子は、普段なかなか積極的に発言しない子です。でも今日は、他の子と違う意見をみんなの前で言えたので、いい場面が設定できたなと思います。これが彼女にとって、少しでも自信につながってくれたら非常に嬉しいですね。多分彼女自身が、6年生になって自分が成長している部分を感じたのでしょう。自ら手を挙げて1人で話ができる地点に、今日辿り着きましたね。少しずつでも、手を挙げて話をするレベルまで力が伸びているぞという成長が見えて嬉しく思います。

実生活に結び付いた「算数的活動」は、子供の中にイメージが広がるのでスムーズに頭に入っていくのだろうな、と思いました。

春山先生

算数でやったことが、日常生活と頭の中でリンクする。すると子どもたちの中で「知識」が「活用」につながるのではないかと思います。しかし、算数の文章問題を見たときに、子どもたちはこの問題で何を聞かれているのか、がイメージできていないんです。ですから、頭の中にイメージする作業が必要ということで、今回は家庭科の調理実習で使った「ジャガイモ」を用いてみました。

アイテム導入まで

今日はもうひとつ、アイテムの話を聞きたいと思います。どのようにこの教材を活用し始めたのか、アイテムとの出会いから聞かせて下さい。

春山先生

例年夏に、筑波大学附属小学校では「全国算数授業研究会」が開催されます。時間がある時はできるだけ参加していますが、その折にブースに展示されているアイテムを見ました。活用事例を読んで、ブースで話を聞いて中身を見せてもらったところ、非常にいい内容でした。
ブースでアイテムの説明を聞いて「今までのものに代わって、年間通して使えるものではないか」と思いました。そして、「これならば本校でも導入できる」と感じました。本校ではアイテムのような問題集的なものはなく、ドリル的なものを毎年使っていました。値段も通常ドリルは学期ごとに300円ちょっと(330円×3冊)です。アイテムは年間1冊と考えると、保護者に負担をかけることもないのでクリアできると思いました。普段はドリル以外にプリントなどを利用していましたが、小学校教員は多くの教科を教えるので、その都度算数の問題を探してきて準備するということは負担があります。アイテムがあれば、その負担を軽減し、その分他のところに時間と労力を使うことが出来ます。その点からも「これは本校で使えそうだ」と思いました。
アイテムは、問題が難易度別に4つのステップに分かれている点がとてもいいと思いました。最初は「1冊購入したら全部やらなければならない」というイメージがありました。使い方として、基本的な問題ページは全員で取り組み、活用・発展的な問題ページについては個人の力、自主的な取り組みに回すことができる構成であると聞きました。それならば本校でも十分導入が可能だと思いましたね。問題によっては、見た瞬間に「これはレベルの高い学校向けだな」と思うものもありますが、そのレベルの問題があるところもいいと感じました。
早速、夏休み中に連絡をしてサンプル(見本)を手元に用意し、2学期、3学期の間、各先生方にアイテムの構成や内容、値段的な部分を説明しました。本校ではドリルをやっていましたが、活用・発展的な力はそれ程高いわけではありません。アイテムには活用・発展的な力を付ける問題が盛り込まれている、ということも丁寧に説明しました。普段、活用・発展問題はプリントを作ってやっていましたが、その点も十分カバーできる問題が入っています。各学年の先生にこの見本を渡し、問題を解くのにかかる時間を計ったり、いろいろな場面で試してもらううにお願いしました。また、次年度の計画を立てる1月の下旬から2月頃に、各学年で導入が可能かどうか、先生方の意見を聞きたいので、各学年で意見をまとめてもらうように話をしました。
その間に先生方と個別に何回か話をしましたが、「これがあったら大変だ」というような話はありませんでした。まず私のほうから、「これは全部やる必要はないよ」ということを強調して伝えました。今まで、ドリルなどの教材は全部を2回やるというイメージを持っていました。アイテムは違う使い方ができる、ということを話しました。
私たち教師には「教材」に対するイメージがあります。そのイメージを変える、使う教材を変えるということはなかなか難しい問題ですね。私が前年度から先生方に「アイテムを検討してみてください」と声を掛けた理由もそこにあります。4月にいきなりアイテムについて声を掛けたら、先生方の中に違和感、抵抗感が出てくると思ったからです。ですから、早い時期に情報提供をして、話だけではなく、実物を見て検討をしてもらう機会を設けました。
今年2月の段階で、本校でアイテムを導入することに不都合はない、という回答を各学年から得ました。何かハードルがあれば、そのハードルがクリアできるのかどうかを校内で検討したいと思っていましたが、特に問題はありませんでした。先生方にとって負荷なく現状維持ができれば導入してもいいのではないかと感じましたので、校長先生にその意向をお伝えしました。ここまでの段階で、各学年の先生方からは、十分大丈夫ということでした。職員は年度が替わると異動があるため、4月当初に「前年度の職員が検討した結果、算数力を高めるため新しい教材アイテムを導入します。教材内容はこのようなものです」とお話しし、教材の内容をそこで再確認しました。(教員用手引き:資料②参照

先生方と合意をして進めていく。仕事の進め方としては大正解だと思います。

春山先生

ありがとうございます。本校の職員は、アイテムに対して前向きで、比較的受け入れてくれる先生方が多いと感じています。また、昨年度も今年度も、このような取り組みに対して十分に受け入れていただける校長と教頭です。その様な学校の雰囲気がベースにあったので、すぐにやろうと思いました。そして手順を踏んで進めました。

保護者に対して

春山先生

導入に当たって、併せて保護者にもお知らせを出し、理解を得ていくという段取りで進めていきました。アイテムに変更することでどんなメリットがあるのか、どんな使い方を考えているのか、教材費の件についても年度初めに学校から文書でお知らせし、家庭に配布しました。(ご家庭向けおたより:資料①参照)どうして教材が変わったのかを不安に思う家庭もあると思いましたから。このような手順を踏んで、今年度4月にスタートし、現在アイテムを活用している、ということです。
今年度、保護者にアイテム提示してみて批判的な声があれば意見を聞きたいとも思いました。もしそういう声があれば、子どもたちの力を伸ばすために、学校と家庭で何をしたらいいかを話題にすることもできます。今のところ懇談会などでも、アイテムを使うことに批判的な声や大きな抵抗はありません。なかなか家庭で取り組んでないという声はありますが、それは予想した範囲内です。今までは、宿題として出されたものをやっていました。出されなくてもやる、という力は育ってなかったのだということです。そこは今後の課題ですね。「自分からやるということを、今後お子さんの目標としていきましょう」ということを、家庭と共有できるといいなと思います。今は家庭(保護者)から学校評価をいただくという取り組みもあるので、そういう中で、今後家庭学習についての話題が出てくれば、それも吸い上げながら検討していくことになると思います。

使い分けをする

全部終わらせなくてもいいという話がありましたが、具体的な使い方に関して、先生からはどのような話をされたのですか?

春山先生

そうですね。授業の中で、「テーマ(導入部分)」と「練習しよう(習得)」の部分は、基本的には取り組ませましょう、と伝えました。この部分はどの学年も教科書で扱っている内容です。次の「活用する力をつけよう」「チャレンジしよう(探求)」の部分は、さらに進んだ子に対してや、家庭学習で取り組ませましょう、この2 ページは全員が取り組まなくてもいい部分ですよ、と言いました。習得の2 ページは、スペース的に問題がなければ書き込みでやりましょう、としています。ノートに写すことでの時間的なロスはないほうがいいと思いました。
各単元にある「テーマ(導入)」の部分は、まとめのときに見たり、重要なところには線を引いたりすることにも使えます。ページの下にあるドリルの部分、これはドリルノートを使って、ノートに書いて進めていくということにしました。ドリル部分は今までの進め方と同じです。どの学年も、学期ごとのドリルをやっていた時と同様に進めていくことにしました。ですから、計算ドリルとアイテム本体とは分けた使い方をしています。アイテム本体の問題は、授業に連動した練習問題として、習熟のために使っています。それぞれ活用の仕方は確認し合いながら進めているところです。

それ以外に、例えば朝の時間でも使いますか。

春山先生

はい。朝の時間でやることもありますし、課題として、宿題として出すこともあります。加えて、全部ではありませんが、授業でやった残りを、できる人は家庭で自主学習としてやってもらうという使い方も勿論いいでしょう、と確認しました。今年度は2月頃に、教材を使用してどうだったか、ということをそれぞれの先生から聞くことになると思います。
「活用する力をつけよう」のページは、自主学習として活用することが多かった。または課題として、授業の中で広げて行ったのではないか、ということも想定しています。今年度そのような使い方ができたのであれば、授業の中で、教科書とアイテムを見比べながら、どちら合っている方を使っていく、という使い方も今後の活用法の中に入れられるのではないかと考えています。

「アイテム」を活用する中で

先生ご自身の感想はどうですか。

春山先生

私自身、アイテムを使うのは初めてです。実際に使ってみて、やはり子どもによって進み具合にかなり差がありました。私個人としては、授業でやった後に練習問題的なものとして、3ページ目の活用の問題をやってみるというような場面が、頻度としては今一番多いと思います。できる子どもは、家庭学習でもどんどんやってきます。今まで宿題は、学習した単元の復習をやっていましたが、アイテムがあると、自分で興味を持ったところをどんどん進めていく子が居ます。そういう子にとっては、予習もできるし、楽しいと思ったところができるのです。実はそういう子が出ることを期待していたのですが、実際にそういう子が居たというのはうれしかったですね。そういう子にとっては、アイテムの導入は良かったと思います。6年生の場合は、家庭学習に回すウエートが少し多くなっています。そのため、宿題としてちゃんとこなしているかどうかをチェックする意味で、学期ごとに(単元末テストとは別に)「算数力テスト」をしています。その出題は、アイテムを使っています。アイテムをきちんとやっているかどうか、その学習成果や取り組み状況というのはテストで確認することができます。

松岡小学校「算数力テスト」

松岡小学校で実施されている「算数力テスト」は先生方が作っているテストですか。

春山先生

「算数力テスト」は、各学年の算数担当2人が作成し、毎年学期に1回実施しています。内容については、アイテムの基本と習得レベルの問題を出すようにしています。色々なところから出題するのではなく、テストのベースは合わせるということは確認しています。アイテムからの出題状況も、3学期の時点でどの辺りを出題したのか学年ごとに聞いていきたいと思います。6年生は全ての問題がアイテムから出題していますが、そうでない学年もあります。アイテムは練習問題として活用し、テストは先生自ら自作した問題を入れている学年もなります。その辺は今年度末に確認したいと思います。
今までは、テストの前に先生が練習用の問題プリントを用意していました。テストに対しての意識を高めるということでは意味がありますが、必要以上にそういうものを作らなくても、アイテムをやればいいと思いました。どの学年も問題なければ、継続して使っていく方向にしたいと考えています。
アイテムを使うことによって子どもに負担をかける、あるいは成果が出てこないということがあれば継続使用は難しくなりますが、次年度も同じように導入していくことにより、算数が得意な子を伸ばすチャンスが作れます。また、問題量の不足を補う点でも利用できると私自身思っています。よりよい使い方を、これからもみんなで考えていきたいと思いますね。そういうことも含めて、現状は先生方も納得して進めていただいているので、導入してみて良かったと思っています。

学校全体で使う事の意味

研究授業の準備が、先生方にとって時間のかかる作業になる場合もありますね。そういった意味でも、全部の学年でアイテムを導入されたのですね。

春山先生

特に6年生に言えることですが、アイテムを使うのが今年初めてなので、取り組みの状況にとても差がある点は課題と感じる部分です。子どもたちは、今までこういう経験をしていないのですから。先生が出したプリントやドリルをやる学習習慣は持っています。しかしアイテムのような冊子の問題集的なものを1年間やっていくという学習スタイルは、過去5年間でほとんど経験がないわけです。
アイテムを低学年から使っていきたいと考えたのは、低学年から経験を積んでいく中で、将来、中学校に行けば必要となる学習スタイルにつないでいけると思ったからです。こういうものがあれば、自分で問題を選んで、できる問題からやるというような自主的な学習が定着していくのではないかと思いました。本校の場合、実情として、出された課題だけこなしていく(出されなければやらない)という習慣があります。その習慣を変えていくためには、1年間だけ使うのではなく、2年、3年と使い続ける中で取り組みが年度を追うごとにスムーズになっていけば、子どもにとってはいい教材の一つになるのではないかと考えます。
今年の6年生はアイテムの経験が1年間だけです。市内の中学校ではワークブックを使っていて(内容的にはどの学校も同じような内容で)、中間・期末テスト前には出題範囲(課題)が伝えられ、その範囲からテストが出題される、という使い方をされていることが多いです。ですから、1年だけでもアイテムを使っていれば、冊子の問題集をこなしていく中学校での学習方法に対して、多少の免疫が付けられるのではないか、とも思いました。

子どもは、与えられたものはやります。逆に言うと、与えられるものしかやらない。先生が子どものためにとしていることが、むしろ子どもの興味を阻害しているかもしれないということですね。

春山先生

そういう見方をすることが今大事なのだと思います。大人がお膳立てをし過ぎているのではないか。子どもが失敗しないようにするのではなく、チャレンジするチャンスをつくっていかなければならないと感じています。
学校ですから、チャレンジしてもうまくいかない結果が出ることもあります。でもそれは、原因の振り返りができればいい、次につながっていけばいいんです。チャレンジして成功すれば、それは子どもの自信につながります。「これをやりなさい」と言われてやったことはチャレンジではなく、ノルマです。やってもゼロで、やらなければマイナスになってしまいます。しかし、問題を自分で選択してやれば「チャレンジした」というプラスからのスタートができるのです。そういう経験をたくさんして自信を付ける場面を積み重ねていくことが、今の子どもたちには大切だと思います。
そのためにも、私たち教員の意識を変えていくことが大事です。アイテムを通して、先生方にそういう考え方があることを知ってもらう機会にもなりました。アイテムを導入することにより、職員の中で今のような話が出てくれたらいいな、と思います。

算数の世界を広げるもの

「活用・発展」というキーワードは、先生の中でどのように捉えているのですか。

春山先生

個人的には、子どもたちには、活用の場面に触れさせたり体験をさせていかなければ、その力を伸ばすチャンスはないと思っています。しかし、「活用の場面を全員が理解をすることはできない」という意見が出てくることは予想されます。しかしそれは、全員が同じように分かるものでなくてもいい、と私は思っています。発展的な問題などは、何人かの力のある子、興味のある子がもっと伸びるために利用できるものであればいい。興味のうすい子や苦手な子にも「そういう世界がある」ということを知っていてほしいのですし、情報のひとつとして知らせることは、無駄ではないと思います。
できるかできないか、が問題ではないと思っています。子どもたちは、これから学年が上がり、中学校へ行ってもっと広い数学の世界を見ることになります。そこへつなげる、という意味では、見せておくこと、触れておくことが必要なのだと思います。だからと言って、いつも発展的な問題をやっていると算数が嫌いになってしまいますからね。週末の練習問題の中に少し発展的な問題を盛り込んで、「終わった子はやってごらん」と声を掛けたりしています。また、年に何回か行う授業研究の中で、発展的な要素まで含められるワンポイント教材としてアイテムを使ったりもしています。
授業研究などのレベルでは、発展的な問題は必要です。しかしそういう教材を用意することは、専科が算数・数学以外の先生にとってはなかなか難しいです。私は専科が数学ですが、例えば、国語で発展的な内容を扱おうとしたら非常に負担が大きいですね。既存の教材の中にそのような問題があれば、活用してもらえば十分だという思いもあります。

校内研修会の在り方

春山先生

茨城北部でアイテムに取り組んでいる学校はまだ少ないと思います。本校の取り組みが何かの機会に話題になっていけば、他の学校にも話がしやすくなると思います。ゼロから突然導入というのは難しいですが、松岡小でやっているという事が他校に対しては話題の提供にもなりますし、高萩市内の子どもたちにとってもプラスになってくれると思います。3年先、5年先になるのか分かりませんが、そう思います。
茨城県南部の方では、アイテムを導入している学校もかなりあります。県南で集まったときに、アイテムを持っている先生が居て、学校で使っているという話を聞きました。北部でも少しずつ浸透していくといいなと思います。

若い先生が多いと伺っています。春山先生を中心にして、先生の輪ができてくるといいと校長先生がおっしゃっていました。先生の働き掛けたことによって若い先生方の変容はありましたか。

春山先生

今日の授業では電子黒板を使いました。電子黒板は、一昨年、高萩市でもICT活用を推進しなければならないという教育長の意向で、各校に導入されました。スタート時は、どの学校も使い方がよく分からないというのは実情でした。私からは、今日授業で提示していたソフトを算数科に導入し、昨年度から、研修の時間で使い始めました。去年まで、本稿では1人1回以上は算数科の授業研究をやっていましたので、その時に電子黒板を使った授業をしました。
1、2年前には、電子黒板とソフトを使っている先生はわずかでした。しかし昨年度は、研究授業を行った先生方の殆どが電子黒板を使っていました。使い方は、夏休み中や少し時間のあるときに一緒に操作をしたり、実例を話したりもしました。新しいものを使うという姿勢も浸透してきましたし、そのことをかたくなに拒む先生は本校にはいません。ICT活用が少しずつ広がっていく素地はあると感じています。その経験もあり、アイテムを導入できる可能性は高いと感じました。
これは小学校と中学校の違いだと思いますが、中学校は専科制です。数学の授業の話は数学科の先生で話すので話が通じやすい。しかし小学校は、先生によって専門も違うしひとりの先生が幾つもの教科や学年を教えます。ですから、ひとつの教科について広げていく人が居るか居ないかということは大きいと感じます。若い先生にチャンスを与え、指導力を伸ばすきっかけになっていくような役割が少しでも果たせればいいと感じています。

ありがとうございます。春山先生の授業を見て、いいなと思った先生たちが、自分の学校でまた核になり、広がっていけばうまくつながっていく思います。

春山先生

小学校はとても忙しいところです。他人から「やりなさい」と言われると正直抵抗感を持つと思いますし、本人のモチベーションは上がりません。自ら必要だと感じ「やってみたい!」と思ったとき、相談できたり一緒に研究したりということで集まると、モチベーションは上がっていきます。本来はそういう形で集まって話し合うことができたらいいな、と思っています。
例えば、私から「こういうものがありますがどうですか?」と提案します。もしその事について質問が来たら、説明すればいいと思っています。それは目的意識や必要感、モチベーションがあるからで、次につながる可能性は高いと思います。その先生が取り組みを始めるというスタイルになると思います。その辺は非常に難しい面もありますが、たくさん集めて、なかなか効果の上がらないものを続けていくよりは、少ない人数でも、少しずつ広げていったほうが、長いスパンで見たら、浸透度は勝るという気がしますね。

本日はありがとうございました。

School Data

学校
〒318-0003
茨城県高萩市下手綱43
学校長:大澤 吉雄
児童数:401人
資料

一言だけでもつぶやいたこと、手を挙げたこと、書いたこと…。そのような事すべて含めて「表現力」ととらえ、幅広く見る必要がありますね。(春山教諭)

資料
資料
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小学校教員は多くの教科を教えるので、その都度算数の問題を探してきて準備するということは負担があります。アイテムがあれば、その負担を軽減し、その分他のところに時間と労力を使うことが出来ます。

資料

アイテムを低学年から使っていきたいと考えたのは、低学年から経験を積んでいく中で、将来、中学校に行けば必要となる学習スタイルにつないでいけると思ったからです。

パンフレット「アイテム算数のご案内」

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